PFS(成果連動型業務委託)にSIB(Social Impact Bond)を組み合わせた「SIBによる前橋市アーバンデザイン推進業務(21年9月~24年7月)」が契約期間を満了しました。業務成果に応じて業務委託料が支払われるPFSは、民間ビジネスでは当たり前のようなインセンティブ方式ですが、自治体からの業務委託では新しく、「まちづくり分野(国土交通省領域)」でははじめてとなり注目を集めていました。
都市再生推進法人(一社)前橋デザインコミッション(MDC)が受託したPFSは、馬場川通りの「賑わい創出」のために「勉強会や社会実験」を行って、「歩行者通行量」を成果指標とするものです。固定払い740万円の他にボーナスに相当する成果払いが0~570万円となっています。SIBとしては、この実施に要する費用を機関投資家(第一生命)が資金提供し、リスクを含む最終成果をMDCと共有する投資スキームになっています。
6月馬場川通りの月間歩行者通行量での評価は、コロナ禍前5年データを基準とした45,388人をベースライン(Cランク評価・成果払い190万円)、これを下回るDランクなら成果払い0円となりMDCも第一生命も実質赤字を被ります。106%増加でBランク・成果払い380万円、111%増加でAランク・成果払い570万円を条件としていました。
24年6月の馬場川通りでは定期的イベントの「馬場川横丁」「Popping Rose Market」が予定通り開催、「馬場川通りでボードゲームをしてみようの会」は天候不順で中止と特別な集客策をとることなく普段通りの状態で月間計測が行われました。
4月以降安定的に歩行者通行量が増えていた状態を保って、6月は51,039人とAランクラインを超える112%の増加となりました。
国内初の「まちづくりSIB」はその組成から手探りのなか前橋市との官民連携で準備を進め、投資家や信託銀行という協力体制を得ることで着手できました。「国内初」に相応しい成果に結びつけるべく、賑わい創出の担い手となる市民のみなさんとともに3年近く取り組んできました。投資モデルとしての実り以上に、前橋まちなかにとって学びと自信となったこと糧にさらに魅力的なまちづくり進めて行きます。
※内閣府のポータルサイトの「PFS事業事例集」に前橋市の事例として詳細が掲載されています。ぜひご覧ください。